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○「ハイ」で好感をもたれる返事をする NO.256

○「ハイ」で好感をもたれる返事をする

 大きな声で「ハイ」といいましょう。相手に対してきちんと向き合い、答える「ハイ」は、人間関係、コミュニケーションのもっとも基本のことです。

 「ハ」のきっかけはH音で、これは声帯でつくる、3つの音(ハ、フ、ホ)の一つです。つまり、声のきっかけとなる最初の音なのです。失声をしたときに、声を取り戻すのにも、この声帯でならす音が導入として使われます。

 「イ」は、前舌音で、これは人間でなくては出せない音、いえ、赤ちゃんには出せない音です。のどの奥に空間ができて、初めて出せるようになる音です。それとともに、日本人は浅くなりがちです。ヴォイトレでは、「イ」を使えて一人前、ベテランになると、「イ」がもっとも高くも出しやすく、ひびきを集めやすい共鳴する音となるのです。

 ですから、お腹からの「ハッ」と、ひびく「イ」との組み合わせは、まさに応答や呼びかけに最高の音です。

 「HI」「Hai」「Hay」・・・と海外でも通じます。肯定する音としては、Ja、Yaなども似ています。逆に否定するのは、No、Nain、Nahなど、鼻に抜くN音がついています。こういう語感(音相という人もいます)を大切に感じていくと、声についても、ことばについても、上達します。

 「ハ」のHaの「ア」は、口内を大きく開き、ヤッホーの「ヤ」の「ア」と同じで、ひびきやすいので、「ア」をつけてもよいのですが、ここでは、「Hi」と「ai」で二重母音( aと iを1音にしてしまうこと)にしましょう。

●「ハイ」と腹から出すトレーニング

 大きな声で「ハイ」といってみてください。うまくできないときは、そのまえに息で深く「ハイ」と言ってみたあとにやると、やりやすいでしょう。「ハイ」は、「ハ・イ」と2拍でなく、1拍でいってください(“Hi!”の感じ)。「イ」では、口を動かさず、声が浅くならないようにします。きちんと「イ」と言わなくてもかまいません。

 大きな声でしっかりと返事ができることは、声を使うための第一条件といってよいかもしれません。うわずってしまう人は、少し低い声にしてみましょう。

 お腹から声を出すには、のどの下の方がビリビリとならず、下の胸の方でしっかりと、響きの中心「声の芯」(声のポジション)が保ちます。胸部と頭部でうまく共鳴しているのが理想です。

 声を出すときは、口の中ではなく、胸やお腹が中心のようにイメージしてください。

 出す声の大きさや高さは、やりやすいところでよいでしょう。少し高めにした方がやりやすい人もいます。その日によって変わっても構いません。しっかりとした声になってくると、声の高さを上げても、うまく対応できるようになります。

 声のトレーニングでは、普段の声と違う声をつくるのではありません。日常的に使っていく声をより深く使いやすくトレーニングしていくのです。いろいろと変化に耐えられる、タフな声にしていきます。

●声がしっかりと出ているかチェックする

 あなたの発声のチェックをしてみましょう。

□全身、とくにお腹から声が出ている(イメージ)

□いろいろいな声や息のノイズが混ざっていない(かすれない)

□一つの線上に声が伸びており、扱いやすい(イメージ)

□声の太さがキープできる、細くならない(個人差はあります)

※息から声への交換効率をよくする

 声のトレーニングのときには、声には、自分にはできないという制限をつくらないことです。

 小さな声では、それに合わせた息しか出さず、体もほとんど使いませんのでトレーニングにはなりにくいのです。体や呼吸を変えていくには、ある程度大きい声から入るほうがやりやすいでしょう。

 まず、体から精一杯の息を使おうと思ってください。そのなかで声になるようにしてみましょう。それが難しい人は、体、呼吸のトレーニングと声のトレーニングを分けてください。

 ここでの目的は、確実に息を声にすることです。息を吸いすぎては、かえってコントロールできなくなります。また、強い息で声がかすれるようでは、のどを痛める危険が大きいからです。

 トレーニングのあとに、のどが痛むようでしたら、それはよくない状態をのどにもたらしたことになります。トレーニングのやり方をチェックしましょう。休みを間にたくさん入れてみてください。それでも変わらないなら、そのトレーニングは中止しましょう。

※声をつくるな、フォームをつくれ

 声になるところを低い音のイメージでとります。今までのどで浅くつくっていた生声を、体と一つになった声(肉声)にしていきます。フォームで出すようにするのです。私がフォームというのは、姿勢のように、外見の形よりは、内側の感覚での統合感といったようなものです。スポーツでベストのプレーができたときの、心身の一体感を思い出してください。

 発声としては、胸の根っこで、確実に声にしてから出すようなイメージにします。このときには、のどが胸の方まで長く続いていて、その下の方の胸で声にしているようなイメージ、のどについている声帯も胸のまんなかについているというイメージにするとよいでしょう。

 声が浅いと、強く出すとのどをしめ、声が浅く広がってしまいます。それに対し、深い声では、息が効率的に声になります。役者の太い声のイメージです。

 声が深いとよく通る声になるのです。一方向へ集約され、声がうまく集まるからです。

●発声トレーニングのチェック

 体を曲げて(前屈して)やってみましょう。次にまっすぐ立ってやります。

□「ハイ」と鋭く、短く言い切れる(音が伸ばさない、のどにかけない)

□頭の方だけで響いていない(響かせない、抜かない)

□なるべくドスの効いた声をめざす(太く強く大きく)

□胸部にしっかりと共鳴している(胸のまん中を手でさわってチェック)

□のど、首、あごに力が入っていない(あごが前に出ていない)

□声がのどに直接あたっている感じがない(のどにビリビリと響いていない)

□のどが開いている、のど仏のところ(咽喉P 参照)が下がっている

□あごの下のやわらかい部分が硬くなっていない

□舌が平らになって、舌の後ろの方の舌根があがっていない

●胸、首、背面の「ハイ」のトレーニング

 舌の運動として、舌を前に出して「あー」と言ってみてください。

1.長さ ロングトーン  「アー」

2.声量 大―小  「ア>ア>ア」

3.声域 高―低  「アー」で ドレミレド (低高低<スケール>)

4.母音 音色  「イエアオウ」

 表情筋を歯ブラシやシェイバーを使う度に、大きく動かしてみましょう。

○のどを開いた声にする

 のどを開くとは、声帯を開くということではありません。

 声帯がずっと開いているのは、吸気のときです。発声時は、声帯の開扉での気流の動きで、そこから声は生じるので、そこは柔軟に保つために、のどにあまり力を加えないということと、口の中、特に奥を少しあけて(大きな空間にして)声を豊かにすると考えてください。

 ことば通りに考えると、のどは開けません。しかし、のどを閉じる、しめるという感じは、何となくわかるのではないかと思います。のどをしめた声というのは、苦しそうな感じがしますね。ここで、のどを開くということは、口の中の奥を開けるということです。のどの力を抜くのです。

 息を深く吸うと、口やのどは自然に広がります。ちょうど、あくびをしようとした状態です。

 よく、「あくびして声を出せ」と言われますが、あくびでは、のどや舌にも力が入るので、あくびの直前の形と考えてください。あごがひかれて、のどの奥がたてに広くなる感じです。

 「まあ~っ」とびっくりしたときのようにしてください。このときに、のどをしめないように注意してください。

●同じ太さ、同じ強さの声をキープするトレーニング

 同じ太さ、同じ強さの音を長時間キープできるようになると、確実に使える声が身についてきます。

 同じ太さで同じ強さの声をキープしようとすると、最初はかなりの集中力とお腹の支えを必要とします。かといって、お腹を使わないと、のどに力が入って、部分的な響きになってしまいます。(そこで腹式呼吸のトレーニングが必要となります)

 日常的に使用している声よりも、しっかりと出すということは、それだけ普段と異なるのですから、第一にテンションとパワーが必要です。パワーがつくにしたがって、よい声が一音ずつできていきます。

 このパワーとは、力で押すのではなく、テンションが高い状態で、集中して出した声をコントロールする力のことです。

1.「アー」

2.やりやすい音で「ロー」

※のどをあけるのがうまくいかない場合

 できない人は、次の順でやってみてください。

1.あごをひく

 ほとんどの人は、あごがまえに出ているので、斜めうしろにひくことです。胸の位置を少しあげてからひくと、首や喉を圧迫しません。親指であごを強く押してみてください。この状態で声を出すとよいです。

 耳のまえにあごのちょうつがいがあります。これは、しゃべったりやわらかいものを食べるときは、動きません。しかし、大きいものを口をあけてくわえるときや、固いものを噛むとき、あごのつけ根のところは下がります。

 あごと舌の余計な動きを抑えるために、エンピツやワリバシをくわえさせるトレーニングもあります。力が入るときは、あごを左右や前後に動かし、楽にしましょう。

2.舌は平らにする

 舌が固くなると、喉がつまる原因になります。舌根(舌の奥の方)が盛り上がると、口の中が狭くなり、へんに共鳴した、つめた声となります。すると、音色も発音も不安定になります。舌が平らになった状態を鏡で確認して声を出してみましょう。

 声楽家ゴスペルシンガーの歌っているときの舌の状態をみると、ぺたっと平らにくっついているのがわかります。TVやDVDでみてください。舌が平らになって、舌先が下の歯の裏についている状態で、喉仏が下がっています。

 強い声を出そうとして力を入れると舌がひっこんで、喉の邪魔をし、喉仏があがり、喉声になりやすいのです。

 というのも、舌は、実際はかなり大きなもので、喉の奥深くまで届き、喉頭につながっているのです。たとえば、舌を前後に動かすと、喉仏が動きます。どうしても力が入るなら、一度、舌を口の外へ大きく出して、ひっこめてみましょう。

 ろれつがまわらないとか、舌やあごに力が入るなどということは、舌を回したり裏返してみたりするトレーニングで、ある程度、解決できます。しかし、根本的に直したい人は、そういうところで左右されないように声を深く使うことをイメージや感覚から変えていくことです。