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「頭を空っぽに」 Vol.250

 私も、のどや体については随分詳しくなりました。でも、レッスンや本にはそういう専門用語や知識は、なるべく出さないようにしています。中途半端に頭でっかちになるとあとで苦労します。事実よりもイメージの言語を大切にすることです。ことば知識(ここでは解剖学的なもの)にこだわる人は、あまり発声がよくなりません。私のところには、私の本やメルマガ読者からいらっしゃる人も多いので、そこを注意しています。
 トレーナーは人の体を扱うので、最低の知識は健康や安全のために必要ですが、トレーナーについているなら、そこはトレーナーに任せればよいのです。レッスンでは頭を空っぽにしてほしいのです。でも、最近はメンタル的な問題も含まれ、どうしても正しい知識に基づいてとか、科学的ということを重視する傾向が強いようです。
 私のところは、そういうものを測る専門の器材があるので、そういうものをみていらっしゃる方もいます。しかし、すぐれたトレーナーの耳には及びません。たとえば、声帯の振動数が1秒に何回という世界において、その回数を云々するようなことは研究者に任せたらよいのです。
 ゴルフのボールとシャフトのインパクトの時間の角度が何点何何度などというのは、いくら知っても使えないでしょう。コーチが分析してアドバイスすればよいのです。本人は、ボールの行き先をみていれば、その結果はわかるのです。角度でなく、全体のフォームとそのコントロール力で正していくしかないのです。そのまえに、同じスイングができる力をつけることです。
 科学が、こういうアートにまで入ってきたのはよいことですが、私は科学的にいろいろと情報を集めて、まだまだ使えないと説明しているのです。のどをいくらみてもらって、直してもらっても、外科的な手術で解決できること以外については、メンタルの問題が大半なのです。心身ともに鍛えていくためのトータルのトレーニングをやるしかないという当たり前のことがわからなくなっている時代です。
 何事にも、そこにいけばすぐに解決するなどということはありません。そういう人はいろいろな理論武装をして、いろんなものを手を変え品を変え、やろうとしますが、本当のことに気づけば、そんなものに頼らず、自分でしっかりと日々トレーニングしていくしかないのです。そういうところから、ここにはいらっしゃった人がたくさんいます。